小型PC(NPC)の購入で発生している問題。購入前に確認を
当店に寄せられる問題の中で、注意喚起が必要な話題です
ここ数年で、小型PC・NPCと呼ばれるカテゴリーのパソコンが売り上げを伸ばしているようです。お弁当箱よりも小さな筐体でデスクトップパソコンの構成要素が含まれる、とてもかわいいパソコンですが、購入後当店に寄せられる相談やトラブル対応から見えた、とんでもない事例について解説し、注意喚起とさせて頂きます。
この手のパソコンを購入しようと検討されている方は、これらの事例を把握して変なパソコンを掴まされないようご注意ください。
目次
【事例.1】Windows OSのライセンスが海賊版?
パソコンに付与されるライセンスは、OEM版やDSP版と呼ばれるPCパーツに紐付いたライセンスが付与されるのが正解ですが、悪い販売店の場合は『団体/大量購入向けに限定提供されるライセンス』を悪用し、インストールを実施しています。
一般消費者には出回らない種類なので、以下のような実害が生じます。
気付くタイミングと実害について
❌ トラブルきっかけで再インストールしようとすると、ライセンス認証が通らず。OSが動作しなくなる。
❌ 再インストールをする契機は、購入後しばらく経ってからがほとんど。購入店に保証を求められない(理由をつけて逃げきられる)可能性が高くなる。
❌ Windows OSを自腹で購入することになる。(2万円前後します。)
予防策
もうこれしかありません。初期不良扱いで返品ができる期間に実施するのが理想です。
✅ 購入したすぐに、ライセンス種別を確認する。
ヒントはライセンスマネージャー。詳しい手順はネットに掲載があるので各自でお調べください。
当店でも有料検査にはなりますが、そういった検査も可能です。
トラブル発生後の対応
正しくないライセンスの商品を売りつけられた場合は、毅然とした対応をすること。
⚠ 代わりのOSライセンスを送るから、それで納めてほしいと言ってくることがほとんどなので、どういう対応にすべきかは、各人の判断です。返品交換や返金対応も可能なレベルだと個人的には思います。
Office付属PCは、オフィスのライセンスも海賊版の可能性あり
OSが海賊版の事例も多いですが、オフィス製品が海賊版の場合も多いです。
オフィス製品を起動させ、アカウントの項目を表示させます。ここに『Professional Plus』などの表示があった場合は、被害を受けている可能性が高いです。
【事例.2】新品で購入したのに中古?
新品パソコンで購入したはずなのに、なんだか中古パソコンなことに気付くことがあります。
気付くタイミングと実害について
購入直後に全然別の相談で当店を訪れ、検査や点検の中で見つかる違和感。
❌ 現行世代とは異なるチップセット/CPUが搭載されていた。
❌ ストレージのSMART情報から、長時間稼働していることが判明した。
予防策
・購入時の製品スペックと合致しているか、確認をすること。(※)
・ストレージなど、動作時間が確認できる部分については、動作時間を測定し新品パソコンの範囲かどうか確認する。
トラブル発生後の対応
スペック違いについては、返品交換の対象となりますので早めの対応が必要です。
動作時間については、まずはコンタクトを取ってみて相手の対応を見て決めるもよし、機械的に購入サイトから返品交換処理でもOKです。
【事例.3】CPUが偽装表示され、性能の低いCPUが使われている
新しいPCを購入した。性能の良いものを購入したらしいがあまり性能が出ていないように思うのでと、検査依頼がきた事例ですが、Windows OS上に表示されるCPU名称と、検査用に導入したツールとでは、検出されるCPUが異なる事例でした。
結局のところ、CPU名称を偽装表示していて、格の低いCPUを搭載していました。
気付くタイミングと実害について
疑うような事例がないと、正直判らないレベルです。
重たいソフトも動かさず、ただ『性能の良いものを買っておこう』くらいな気持ちで購入していると、気付けないかもしれません。
予防策
ミスがないか調べるというより、偽装の有無を調べる内容になりますので、本格的な検査が必要です。
販売店が誠心誠意しっかりしているところかどうか?から調べる必要がありますね。
トラブル発生後の対応
悪質性が高いので、販売サイトを通じて返品返金処理でOKだと思います。
へたに販売店と直接交渉すると、だいたいが『格下モデルとの差額を支払うので、それで許して』という流れに持ち込ませようとしますが、ここでヘタに対応(話しに乗って)しまうと、販売サイトからの返品手続きが中断するので注意してください。
悪い販売店を撲滅させる意味もこめて、ここは販売サイトを通じて機械的に返品返金処理に徹してください。
【事例.4】SSD容量が偽装され、データが書き込めない
この事例は当店で直接かかわった事例ではなく、ご来店されたお客様から聞いた話しです。
この方はPCにもお詳しくて、武勇伝として伺ったのですが、ネット通販で購入したパソコンで、購入価格を下げるため販売されていた中で一番SSD容量が少ないモデルを購入したそうです。(128GBだったか250GBだったか)
実際に届いて、動作を確認するとCドライブには、注文通りのサイズのパーティションが存在し、ただし、Dドライブ以降にも複数のパーティションがあり、合計するとサイズが大きかった。とのこと。
おそらく、1TB くらいのSSD サイズに相当するんだろうと言うことでした。
『これは、ラッキー』と、Dドライブ以降をデータ領域して使っていたそうなのですが、あるとき使用中にWindows OSが固まってしまい再起動したとのこと。これをぎっかけに『ハーティションをひとつにまとめて、おおきなCドライブにしよう』と再インストールを実施したらしいのですが、それ以降パソコンがまとぃに動かなくなったらしいです。
最初はSSD の故障か? と疑ったらしいのですが、結局のところSSD容量が偽装されていて、沢山データを書き込むとWindowsが壊れる状態 だったそうです。
気付くタイミングと実害について
❌ 注文時よりも、大きなストレージに交換されて納品されることはない (そんなラッキーは存在しない)
❌ ストレージ容量を偽装する販売店は、他にも色々と悪いことをしているはず。
予防策
よくも悪くも、注文時のスペック通りかどうか確認し、異なる個所があれば善し悪しにかかわらず疑うこと。
トラブル発生後の対応
気付くタイミングにもよりますが、返品交換が可能か確認しましょう。
泣き寝入りはできるだけしない方向で対処してください。悪い業者を撲滅しましょう。
雑感
小型PC(NUC)が流行りだしてから、この手の話題を久しぶりに沢山見るようになりました。
どうしてこのタイミングなんだろうと考えたところ、ひとつの考えが浮かびました。
NUCという製品のユーザ層です。PC初心者が真っ先に手を出すカテゴリーではないので、ある程度判っている方たちが購入すると。そして、動作していれば多少のところは許容してくれそうだし、ちゃんと偽装すればバレないだろうと。バレたら差額を返金すれば大丈夫そうだ、そんなところまで考えての販売戦略(=ほぼ詐欺)なんじゃないかなと思っています。
セールや割引といった方法で買わせているようですが、物には適正価格帯がありますので、それを越えて売られている場合は、何かしらがごまかされているか、違っていると思うのが自然です。
『安物買いの銭失い』にならないよう、十分にお気をつけください。