メモリーがマザーボードに直付けでないモデルを選ぶ。

俺ならこういうパソコンを買うシリーズ (メモリー)

当店の仕事の性質上、お客様から『どんなパソコンを買ったら良いですか?』『どこのメーカーを買ったら良いですか?』という質問を良く受けます。
どういう着眼点で良い・悪いを表せば良いのか、お客様はどういう所を重要視するのか、意外と難しい内容になる事が多いので、細かくピンポイントで解説してゆきます。同じカテゴリーに分けておきますので、ぜひご覧ください。 基本的な方針は、修理屋さん目線で『長く修理しながら愛用するのに適した商品は?』という希望に応える形で執筆しています。

そもそも、メモリーって何ですか?

パソコンのメイン基板 (マザーボード) の上にメモリーという部品が搭載されています。
メモリーはOS(Windows)や、プログラムがきびきびと動くために必要で、より沢山のメモリーを載せることで、さらにきびきびとパソコンが動くというもので、必要に応じてパソコン購入後に増やせる (増設できる) 仕組みが備わっている事が多いです。※
※ 交換ができないタイプもあり、それを今回解説してゆきます。

メモリーが直付けでない機種とは?

マザーボード上にメモリーが搭載されていると書きましたが、通常、このメモリーはスロットと呼ばれる差込み口に刺さっている状態で、必要に応じて抜き差しが可能となっています。不具合や増設の際は、取り外して交換ができます。

パソコンの薄さや重量を気にするモデルの場合、このスロットと呼ばれる差込み口を省略して、メモリーという部品をメイン基板上に直接ハンダ付けして、搭載する方法を取ることが多いです。
この方法で製造されてしまうと、メモリーの故障や増設の希望があっても交換することができません。
比較的、このメモリーは故障率が低い部品と言われていますので、現状のメーカーさんの考えとしては、通常の厚みを許容してくれるならスロットを搭載し、薄型・軽量モデルの場合は、スロットを省略して製造するという判断をされています。

メモリー直付けのバリエーション

『メモリーが直付け』という製品の中でも、細かく言うと複数のパターンがあります。

タブレットや、2in1タイプに多いタイプで、搭載時のメモリーが直付けで、将来の交換や増設の手段が設けられていないもの。
購入前に、搭載されているメモリー容量の検討が重要になってくる製品です。

薄型のノートパソコンなどに多いタイプで、通常ふたつのメモリー・スロットがあるうちの、片方が『直付け』になっていて、もうひとつのスロットは、残っているタイプ。将来の増設だけは可能になっているもの。
最大メモリー搭載量が、12GBとか20GB という半端な値になっている製品は(b)これに該当します。

通常のノートパソコンに多く存在するタイプで、通常ふたつのメモリースロットがそのまま搭載されていて、将来の交換や増設が可能であり、制約が少ないもの。

メモリー直付けの機種をどう評価するか?

この項目については、当店のスタッフの間でも意見が分かれています。
購入当初、自分で必要だと思っているメモリー量が搭載されていれば、将来メモリーを増設する可能性はないので、薄型・軽量の方がありがたい、そういうモデルを選びたいという意見もありました。
→ (a) でも (b) でも構わないよという意見。

この記事を書いているスタッフは、とりあえずのメモリー量を搭載しておいてくれれば、将来自分で増設をするので、やはりメモリースロットは搭載してほしいし、拡張性(のびしろ)は確保したい、特に薄型モデルは選択しないので、拡張性を重視したい。そういう意見でした。
→ 希望は (c)タイプ。パソコン自体の機能・性能に魅力を感じていて、メモリー直付けのマイナス点をカバーできるなら (b)でも構わないという意見。

結局のところ、どういう選択をするべきか?

購入をするお客様が、『このパソコンをどのように使いたいのか?どのような目的で購入するのか?』  これに尽きます。

購入直後の使い方が比較的軽い用途 (インターネットやWord/Excel) で、将来的には Photoshop や CADソフトなどを動かしたい、そんな用途の異なる目的でパソコンを検討されているなら、メモリーの搭載量については、将来増設が可能なモデルを選ぶべきです。
こういう用途でもなお、薄型・軽量を望んでいるなら、パソコン購入時にメモリーが沢山搭載されているモデルを選ぶ必要があります。(PhotoshopやCADソフトが十分に動作するであろう、比較的高いモデルを選択することになります。)

修理屋さんが見た、メモリー直付け・スロットの選択

メモリーは、HDD/SSDなどと比べても、パソコンの部品の中では比較的壊れにくい箇所だと思います。
ただ、故障した際は比較的安価に修理できる箇所でもあるので、メモリーが壊れたくらいで、パソコンごと諦める、もしくはマザーボード交換の修理が必要になる、という選択に少し『もったいない』の気持ちがあるのだと思います。

違う視点でアドバイスをしますと、薄型・軽量モデルを長く愛用したいと考えたとき、メモリーの故障でパソコンを替えたくない、使い慣れた機種で長く使いたいということなら、購入時に加入できる『パソコンの延長保証』なども候補になるかと思います。保険の掛け金分は割高になりますが、メモリー故障 (= マザーボード交換) が保険で修理できるなら自己負担も少なく安心です。
メモリーの故障率については、個体差が影響するところですので、メモリー故障で大変な経験をされていない方からすれば、『なんでメモリーが直付けかどうかで悩んでいるの?』と不思議に思う方もいらっしゃるかと思います。
一応このシリーズは、『俺ならこういうパソコンを買うシリーズ』なので、多少のこだわりはご容赦ください。
色々な形状のパソコンが増えてきたからこその、新しい悩みです。