Windows11のここが嫌だ!というお客様の声をまとめました

Windows 11が発売され、しばらく経ちまして

当店ではWindows 11に関する色々なご相談が増えてまいりました。
その中で、お客様からお伺いすることが多い事例について『ここがイヤだよ、Windows 11』というテーマでまとめたいと思います。圧倒的にマイクロソフトアカウントに関するものが多いので、『ここがイヤだよ、マイクロソフトアカウント』としてもよいくらいの内容になります。皆様がWindows11を利用するにあたって、このようなトラブルに見舞われないよう、どうするべきか?のヒントになれば幸いです。


ここに記載した情報には誤りがない様努めておりますが、万が一情報に誤りがあった場合にはご容赦ください。ここの情報を利用する際はお客様の責任において利用してください。利用されたことによって生じるいかなる不利益も、当方では責任を負いかねます。

Microsoftアカウント、よく判らない問題

Windows 11 Home搭載のパソコンでは、事実上マイクロソフト・アカウント(Microsoft Account) が必須となりました。パソコンの初期設定 (初回の電源投入時) にさっそくMicrosoftアカウントを求めてくるので、この時点で
『Microsoftアカウントって何?』
『これって、作らないといけないの?』
『メールアドレスが必要なんだって!どれを使おうか?』

みたいな、戸惑いが発生します。量販店などでパソコンを購入された場合に【お店で追加費用を払って、設定までしてもらおう】と思ってしまう理由はここらへんにありそうです。

昔の(Windows 7以前の) 頃と比べて、格段に初期設定の項目が増えて、面倒になっています。

マイクロソフトアカウントを作成する意味?

大きく分けて二つあります。ライセンスの管理(紐付け)
ユーザー環境・データの管理 です。
身近なところでは、Microsoft Officeが同梱されたモデルを購入した際のライセンス管理として利用します。

Windows 11、サービスが勝手に動き出す

クラウドに勝手にデータがアップロードされてしまう事例

Windows 11では、標準でクラウドサービスの『OneDrive』が稼働した状態で始まります。
そもそもこの機能を気にしていなかったお客様は、いつものパソコン切り替えの儀式の中で、今まで使っていた文書や写真を新しいパソコンにコピーして利用し始めることが多いです。しばらくして自分のデータがクラウドに上げられてしまっている事実を知り、慌ててしまうという事例があります。
🟥 急いでクラウドからデータを引き上げようとして、操作順番を誤りデータを消してしまう事例
🟥 パソコン内とクラウド内とで同一名称のデータを別々のところで管理をしてしまい、どちらが原本か判らなくなる事例
などが挙げられます。クラウドが苦手・嫌いな人がこの事実を知ったときに『いそいでデータを手元に戻さないと』とあわてて作業をすることで二次的被害が発生するパターンをよく見かけます。 この事例は、じっくり手順を踏んで作業しないとデータが消えます。

クラウドが嫌い、苦手な人は
パソコンの設定をしている最中に、クラウドを利用しないよう設定の変更が必要になります。
データをコピーしてしまってからの作業は、何倍も面倒になるので最初にきっちり実施することが重要です。
当店でPCの初回設定サービス内において、クラウドを利用しない設定で納品することが可能ですので、そういうご依頼もお任せください。

私のデータがどこにあるか判らない問題

パソコンのトラブルなどで、データ復旧をされる場合に生じる問題です。
お客様はクラウド(= OneDrive)を利用されている意識がなく、パソコンのトラブル(例えばWindowsが起動しない)をきっかけに、データ復旧の依頼をする訳なのですが、個人データがクラウドで管理されているため、パソコンの中にはデータ(いわゆる原本となるデータ)が存在しない、という事例です。
当方からの報告で、代わりのパソコンからサインインが出来、個人データの確認が取れた場合は大丈夫なのですが、ここでサインインできない問題を併発してしまうと、個人データの消失にもなりかねない重大なトラブルに発展します。

Microsoftアカウント、切り離せない問題

パソコンを譲渡する際に困る問題

個人だと、家族や知人にパソコンを譲る際に付属していたオフィス製品も譲ろうとするのですが、その際にライセンス認証時に用いたマイクロソフトアカウントでサインインしないといけない、というしがらみが残ってしまう 問題があります。家族間でしたら、まぁなんとかなるかもしれませんが、知人より遠い関係性の場合はかなり困ります。

将来、譲渡の可能性がある場合は・・・
このパソコンを管理するためだけの、新しいアカウントを作成し初期設定を行ってください。
確認コードの送付先などはあなたが利用している間は、あなたの連絡先を登録してください。
このパソコンでしか利用しないマイクロソフトアカウントを、新規に作成してソフトウェアのライセンス管理をこのアカウントで実施し、OneDriveなどのクラウド利用の際には、自分自身のマイクロソフトアカウントで利用するよう設定するなど、場面に応じてアカウントを使い分ける意識が重要です。
アカウントの独立性さえ担保できていれば、パソコンを譲渡する際に確認コードなどの通知先を新しい利用者の情報に差し替えるだけで対応が可能です。(※)
※ Microsoft社の見解として、マイクロソフトアカウント自体を譲渡することを認めていません。しかし、これ以外のスマートな譲渡方法を提示していませんので、当方ではこれを事実上の最善策として掲載しています。

Microsoftアカウント、サインインできない問題

パソコンの起動や、オフィス製品などの資産管理に直結するマイクロソフトアカウントですが、このアカウントにサインインできない問題は沢山発生しています。

リカバリや回復後に作業ができなくなる問題

普段はPINコードを使ってサインインしている場合、マイクロソフトアカウントのパスワードを失念してしまったり、他要素認証の手段で確認を取っていなかったりで、トラブル発生時に作業ができなくなる事例があります。
例えば身近でもよくある話ですが、
✅ パソコンを購入した当時、知り合いにパソコンの初期設定をお願いしたが、その当時の記録も残っておらず、連絡を取ろうにも、その知り合いと連絡がつかなくなった。
マイクロソフトアカウントのパスワードが記録されていなかったり、確認コードの送付先に知り合いの方の情報が含まれていたりで、リカバリーや再度設定する場面で詰まってしまっている。

✅ 会社で購入したパソコンは、PCに詳しい社員さんにパソコンの初期設定から全てをお任せしていた時期があって、その担当者の退社や異動などで連絡がつかなくなってしまった場合。上記と同様にPINコードではサインインができなくなったあとで気づき、リカバリーやトラブル発生時にもマイクロソフトアカウントに正しくアクセスができず、作業ができなくなっている。

サインインできないだけで、オフィス製品を買い直す事例も

サインインできなくなったなら、またマイクロソフトアカウントを作ればいいじゃないか?と詳しくない方は思うかもしれません。先にも解説したようにオフィス製品などはアカウントと紐づけて管理をしているので、いわゆるソフトウェア製品の購入証明書が金庫(=マイクロソフトアカウント)にしまってある状態 なので、金庫が開けられないと証明書が提示できないことになります。

永続版のオフィス製品だとHome & Business版で、約 4万円弱のソフト費用がかかります。
サブスクリブション契約の『Microsoft 365』でも年間 13,000円ほどの費用が発生しており、アカウントにサインインできなくなるだけで、これらのソフトウェア資産が消失します。

第三者ではパスワード関連のお手伝いが難しい

こんな感じのマイクロソフトアカウントに正しくサインインできない事象に起因する、さまざまなトラブルが日本各地で起こっていて、当店にも相談がたくさんあります。当店でもサポートできる項目もあるのですが、基本的なパスワードなどの対応については、Microsoft社の方針が強く影響しますので第三者のパソコン修理店でサポートできる内容には限界もあります。

BitLocker暗号化の復号ができなくなる事例も

最近では、メーカーから出荷された状態ですでにBitLocker暗号化が施されているモデルがあります。
この暗号の仕組みは、正しくWindowsが動作し、正しいアカウントでサインインできた場合に、パソコン内部の個人データが扱えるようになる仕組みで、盗難や紛失の際にデータにアクセスできなくするものです。
パソコンにトラブルが発生し、リカバリーや回復と言った 【いったん購入時の状態に初期化しましょう】的な操作をする場合、内部のストレージ(SSDやHDD)に施されているBitLocker暗号化を解除(復号)して作業を進める必要があります。当店でも過去にご紹介した『BitLocker回復キーに関する記事』🔸 の事例にあるように、マイクロソフトアカウントに回復キーが残っている場合がありますので、こういう場面でもアカウント情報は大事だな、と思える場面です。

この記事で当店がお伝えしたいこと

マイクロソフトアカウントは面倒な概念ではありますが、大事な情報でもあります。
作成したからには、確実に維持管理してください。アカウント情報をなくしてしまった代償はかなり大きくなる傾向が強いです。

マイクロソフトアカウントはかなり大事

ソフトウェア資産を喪失すると、4万くらいの権利(=財産)が吹き飛びます。
アカウント名、パスワード、PIN、連絡先(確認コードが届く手段) については確実に記録を残しましょう。

絶対に控えを残しておく

アカウント名、パスワード、PIN、連絡先(確認コードが届く手段) については確実に記録を残しましょう。
どのパソコンで利用したアカウントかもセットにしておくと確実です。(複数のパソコンを所持する方)
パソコンの中に電子データとして記録を残しておくのは悪手です。パソコンがダメになったら読めません。
手書き文字に自信がない人はタイプしたデータを残しても大丈夫ですが、同時にスマホで(記録したメモを)撮影して保存するなどパソコン自体にアクセスができなくても参照できるよう工夫はしておいてください。

人任せにしない方がいい

パソコンが苦手な人ほど、これらの初期設定を他人に任せる傾向はあると思います。
作業自体は任せてもかまいませんので、作業終了時に先に記したような情報を聞いてください。
書類で残さなかった場合は、ちゃんと聞いてメモしてください。

我々プロの担当者は、このようなアカウントに関係する作業を担った場合、最後に紙で記録を残し納品します。
ちょっと乱暴な書き方をすれば、紙で残して納品するのがプロ意識が高い人で、作業だけして記録を残さない人はアマチュア的発想の人です。人は絶対に忘れる生き物なので、書いて残すのが原始的ですが確実です。