USBメモリーやSDカードの間違った使い方

USBメモリーやSDカードの特徴をご存じですか?

当店で色々なご相談を受ける中で、意外とUSBメモリーやSDカードの特性をご存じでなく、使っているお客様が多いことに気づかされます。もちろんじっくりと説明して対処して頂くのですが、こういう情報も記録として掲載することで、『ヤバい、うちでも同じことやってた!』と気づく方も多いと思い記事にします。少しでも多くのデータ消失事故を、未然に防げるよう祈っています。

SDカードやUSBメモリーの良い点と悪い点

良い点は、皆様も実感されているように、

HDD (ハードディスク)などと比較して言われる事が多いですが、衝撃に比較的強いです。カバンからテーブルに落としたとか、テーブルから床に落としたくらいで『データが読めなくなるようなダメージを負うこと』は稀です。抜き差しの回数が多くなった時に、USBコネクター部分が曲がったり、折れたりすることの被害が多い気がしています。

商品のサイズが小さく、持ち運びが便利です。

別途、電源コードなどをつながずに利用できるのも、USBメモリーやSDカードの魅力です。
外付けHDDなどでは、コンセントから電力を供給するケーブルが必要になるケースがあります。

その一方で、このような悪い点があります。

技術の差なのでどうしようもないのですが、HDDなどと比べて読み書き回数による寿命が短いです。
HDDなどを使った経験がある方だと、USBメモリーやSDカードも同じくらいの読み書き回数がこなせると思いがちですが、桁違いに少ないので注意が必要です。

USBメモリーよりも、SDカード系で起こりやすい事例ですが、SDカードの抜き差し時に静電気のダメージを与えてしまい、SDカードが故障することがあります。USBメモリーは外側にシールド層がある分、こういうトラブルには遭いにくいですが、同じような弱点があります。

大事なことなので目立つように書きます。
SDカード(SDHCやSDXCも一緒)や、USBメモリーで使われている技術は、長期間読み書きせずに保管した場合に、他のメディア(HDDやDVDなど)と比べて、データが自然に消失する可能性が高いです。表面的にはデータが読めなくなる症状です。
少なくとも当店の運用ルールでは、一年以上保管するデータはUSBメモリーやSDカードでは保管しません。
HDDやDVD/Blu-rayなどのメディアに記録して保管しています。

USBメモリーやSDカードとうまく付き合う方法

これらの特徴をふまえて、当店がお勧めする、『USBメモリーやSDカードとの良い付き合い方』 をレクチャーいたします。
具体的な場面を想定した解説もありますが、当店で対応したご相談事例の中から多いものをピックアップしています。沢山の方の参考になると思います。

ビックリすることを最初に書きます。これらのメディアは長期保存に向きません。
USBメモリーやSDカードは、データの原本として利用するのに不向きなメディアです。 長期間さわらず、ずっと保存をしておく用途や、繰り返し同じデータを更新し続けるような操作には向きません。これらのメディアは、A地点からB地点にデータを運ぶためのもの、 という認識で利用して頂けると、この製品の性質や特性とマッチして、不幸なトラブルに見舞われずに済みます。
USBメモリー・SDカードを原本にして、読み書きを繰り返す方法は、絶対に避けてください。
もし、作業効率からこのような利用方法をしてしまう場合は、事前にバックアップ(コピー)を取ってから作業を開始してください。もしこのタイミングでトラブルが発生しても、現在更新・作成したデータだけで被害が納まります。

自治会やPTAなど、何かの役員を引き受けて、それに伴い文書などが入ったUSBメモリーを引き継ぐことがあると思いますが、引き継いだ瞬間に、丸ごと全部バックアップを取ってください。 そして、ご自身がデータを作成・更新した際は、変更差分のバックアップを取ってください。このメモリーは先人たちがどのくらいの時間利用したか判らない、『導火線に火がついた、危険なもの』 として扱うとちょうどいいです。この事例の場合、もし任期中にUSBメモリーが故障しても、USBメモリー代をどうするかだけで済みますが、データを消失させたとなると、データ復旧の費用を工面したり、最悪の場合データが救出できなくて、引き継いだデータを後任の方に渡せず、大変な事になります。

SDカードやUSBメモリーを差し込んで、すぐに更新作業をされる方が多いですが、アクセス頻度の高いデータが一番破損しやすい傾向があります。久しぶりに差し込んだSDカード/USBメモリーは、まず最初に全体のバックアップを取ってから、作業を始められると大惨事を防げます。(作業終了後にコピーを取る方法でも効果はだいたい一緒なので、自分の好きなタイミングで統一してバックアップを取る習慣を身につけてください。)

先程のA地点、B地点の話しと関係しますが、撮影して持ち帰った写真データを、デジカメに挿したままずっとそのままにしている方が意外に多いんです。実際、お仕事で現場の写真を撮っていて、何週間か連続して撮影して、現場の区切りがついたのでまとめてパソコンにコピーしようとしたら、すでにデータが消えていて読めなくなっていたという事例が、比較的多いです。
長時間原本をSDカードに置かない、不特定多数で利用するSDカードは、どのくらいの時間利用しているか判らないので、最大限の警戒をする、これらは絶対に守るべき事項です。

USBメモリーの抜き差しで、差込み口が曲がる事例があります。曲がっていく傾向があります。物によっては折れる場合もあります。
『曲がり現象』は故障の前触れなので、データを新しいUSBメモリーにコピーさせて、曲がっているメモリーは引退させてください。曲がりがきつくなると、データが読めなくなるのは時間の問題です。SDカードでいうと、外装のプラスチックがおかしくなっている物(ささくれや部分的な破損・はがれなど)などがそれに該当します。

旅行や運動会、特別な日には写真を沢山撮ると思いますが、そういう時に手元に転がっていたSDカードを取り出してきて、『されでいいかな』とカメラに挿入して利用したところ、帰って来たら写真が全然撮れてなかった、全部消えていたなどのトラブルに見舞われがちです。
どのくらい前のSDカード・USBメモリーなのか判らないものを、大事な場面を迎えるときに、うっかり活用してしまうとデータ消失のトラブルが発生します。実際にそういう使い方をしてデータ復旧のご依頼を受けたことが何回もあります。
自分の管理から離れて、どのくらい前に買ったのか判らない、どのくらい使っていたのか判らない、そういうメモリーやカードは、普段使いにしてもらって、大事な場面で利用するものは、比較的新しいものか現在メインで使っている信頼のおけるものを使うようにしてください。

最近、パソコンメーカーの中には、自社のリカバリーディスクを作成する仕組みを省略しているメーカーがあります。
そういう場合、Windows10に標準で搭載されている機能『回復ディスクの作成』を実施する訳なんですが、このときに指定されるメモリーが、USBメモリーなんです。
先に記しているように、長期間触らずに保管するメディアとしてあまり推奨していないので、当店ではこの風習が根付いてしまうことを心配しています。できることならば、『システムイメージ』などの機能を併用して、HDDやDVDメディアなどにも類似のデータを作成し保管しておくことを強く推奨します。

USBメモリーやSDカードとうまく付き合う総括

大事なデータをいかに早く複製するか゛常に気にしておく。
今日撮影できたから明日も読めるはずという考えが危険。
長い期間使わないこと。仕事で使っているものなら2~3年で交換するくらい。
一瞬読めなくなったけど、挿し直したら読めたというような事例は故障の前触れ。すべての予定を後回しにして、SDカードやUSBメモリーの中身をバックアップしてください。